2026年4月1日(水)鑑賞 U-NEXT
2025年11月28日(金)公開[PG12] / 上映時間:124分 / 製作:2025年(日本) / 配給:松竹
【監督】 内田英治
【キャスト】
 永島夏希:北川景子 / 芳井多摩恵:森田望智 / 池田海:佐久間大介 / 岩倉:渋谷龍太 /
 永島小春:渡瀬結美 / 永島小太郎:加藤侑大 / サトウ:渋川清彦 / 柳一郎:池内博之 /
 スナック「楽園」のママ:内田慈 / 星崎みゆき:田中麗奈 / 多田真司:光石研
【あらすじ】
借金取りに追われ、2人の子どもを連れて東京へ逃げてきた永島夏希(北川景子)は、昼も夜も必死に働いてもなお、明日の食べものにさえ困る生活を送っていた。そんなある日、夜の街でドラッグの密売現場に遭遇した彼女は、自らも売人になることを決意する。心に深い孤独を抱える格闘家・芳井多摩恵(森田望智)と出会った夏希は、ボディガード役を買って出た彼女とタッグを組み、さらに危険な取引に手を伸ばす。しかし、ある女子大学生の死をきっかけに、夏希と多摩恵の運命は思わぬ方向へ転がりはじめる・・・
【感想】
昨年、この映画も気になっていたのですが、他に観たい映画がいくつかあったので結局映画館では観なかった映画です。内容が麻薬の密売に手を出す母親ということだったので、結末が暗いのではないかという危惧もありました。今回、毎月の期限切れとなるU-NEXTのポイントを長女からもらって観てみることにしました。

観た印象は、この映画をどう楽しんで観ればいいのかということをずっと考えながら物語を追っていたという感じでした。面白いわけでもないし、感動的でもなく、子供ふたりを貧困の中で育てるシングルマザーの夏希が、ひょんなきっかけからドラッグの売人になっていくというストーリーで、そこに、娘・小春(渡瀬結美)のバイオリン教室やイジメ、息子・小太郎(加藤侑大)が他の子供に怪我をさせるという出来事がその背中を押すという形になっています。また、友人となった格闘家の多摩恵の孤独や困難、夏希による麻薬密売への巻き込みなどが絡んできます。観ていて共感も感じられない行動ばかりですが、夏希を演じるのが北川景子ということで、最後はハッピーエンドで終わるのだろうという期待と興味で観続けました。また、多摩恵を演じる森田望智がいつもの森田望智の印象とはまったく異なるというのも見どころでした。

ラストシーンに向けて、夏希の客だった女子大生が死んだことで、夏希たちは組織からも狙われ、女子大生の母親・星崎みゆきからも復讐で狙われます。多摩恵は組織のボス・サトウに捕まり、小春は星崎みゆきから銃を突き付けられます。しかし、夏希の部屋に来たのは多摩恵と小春。部屋で夏希と多摩恵と小春と小太郎が抱き合って喜び、その背景には夜にしか咲かないはずのナイトフラワー(月下美人)が咲いているというシーンで終わります。違和感を感じながらも、多摩恵は母親に思いがあるサトウに助けられたのだろう、みゆきはさすがに小春は殺せなかったのだろうと思ってやっぱりハッピーエンドで終わるんだと思ったのですが、やはり違和感は拭えず、ナイトフラワーが昼に咲いているのもおかしいと考えると、実はこのラストシーンは夏希の妄想の世界ではないかという思いに至ります。多摩恵も殺され、小春も聞こえた銃声によって殺されていた、それが実際の結末なのだと・・・。

わかり難かったオープニングをもう一度観ると、トイレで夏希が寝言で「小太郎、行ったらあかん!」という台詞が、ラストシーンでの夏希の叫びと重なることに気づきます。実は夏希は、どこかで疲れて壊れてしまい、ひょっとしたら違法ドラッグに手を出したのしれません。最初は子供の手の届かないところに置いていたものが、最後では小太郎が遊びに使っていたので、夏希にとって使う身として身近に置いていたのかもしれません。

そう考えるとこの映画は、貧困で苦しんでいる夏希のような人間の悲しい運命とその残酷な結末を描いたものとわかり、この映画の意味というものがわかってきました。いくら貧困で苦しいと言っても、安易に違法の世界に踏み込むことの危うさを伝えたいのだとわかります。その意味がわかると、映画の最初の印象がガラリと変わり、なかなかよく考えられた映画だと思えるようになりました。
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。